ミツバチと花のカンケイ

ミツバチと花のカンケイ

花から蜜を吸って、ハチミツを作るミツバチ。単純に見ると、ミツバチは花の蜜を勝手に吸っていくだけの生き物に思えます。しかし、実はミツバチと花はかなり深い関係で結ばれています。

それでは、ミツバチと花はどのような関係があるのでしょうか。その密接な関わりについて解明していきましょう。

ポリネーターとは?

花の受粉を媒介する役割を持つ動物

ミツバチを語るにあたって、ある一つの単語を知っておく必要があります。それはポリネーターという単語です。

ポリネーターとは、送粉者のことを指します。これは花粉を送る者という意味であり、植物が繁殖していくにあたって、花粉を運んで受粉を媒介する役割を持つ動物のことです。

全ての植物がそうではありませんが、一部の植物においては、ポリネーターが受粉を媒介にすることを前提に生息しているものもあります。そのポリネーターの一つであるのが、ミツバチなのです。

様々な生物がポリネーターとして知られる

ポリネーターとして知られるのは、ミツバチだけではありません。その他の虫や動物も、ポリネーターとしての役割を持っています。

主なポリネーターとして知られる虫や動物としては、蝶々などの蛾の仲間、ハチドリなどの一部の鳥類などが挙げられます。また、植物によっては猿の仲間などもポリネーターとして働くことがあります。

植物の側も、これらポリネーターに花粉を運搬してもらいやすいように、ポリネーターが近づきやすい工夫がなされた構造となっています。

農業においても欠かせないミツバチ

ミツバチはポリネーターとして、とても有能な働きをしてくれます。そしてその働きは、人間の食生活を支えるにまで至っていることも知っておくべきでしょう。なぜならば、ミツバチは農業においても欠かせない存在だからです。

私たちが食べる野菜や果物の中には、ミツバチを媒介者として受粉をしているものも多くあります。そのため、ミツバチがいなくなってしまうと、これら農作物が受粉できずに栽培が不可能になってしまいます

ミツバチがポリネーターとして働く農作物としては、イチゴやスイカ、メロン、ナスビなど、私たちにとても馴染み深いものが多いのも特徴的です。

ミツバチと花のカンケイを守ろう!

自然破壊がミツバチ依存の状況を作り出している

花や植物の受粉の一部は、ポリネーターとしてミツバチに依存せざるを得ない状況となっています。このような状況を作り出してしまったのは、私たち人間の自然破壊が背景にあると考えられています。

かつて、自然が多い頃であれば、自然に栽培している農作物にはミツバチ以外の動植物がやってきて、勝手にポリネーターとしての役割を果たしてくれていました。ですが、今は環境破壊によってそれらポリネーターの多くが少なくなりました。

このような理由から、ポリネーターの絶対数が減った今、効率良くポリネーターとして働いてくれるミツバチに頼らなければならなくなっているのです。

ミツバチの害になる農薬を減らす

そんなポリネーターとして重要な役割を働いてくれているミツバチですが、花とのカンケイが悪くなる問題を抱えています。その一つが、植物に使われている農薬です。

大規模な農園は、害虫駆除の管理がとても難しいです。そのため、必然的に強力な農薬を使用するようになります。ネオニコチノイド系の農薬などがそれにあたり、このような強い農薬に晒されたミツバチは神経系が麻痺して死んでしまいます。

また、その農薬の影響がミツバチ単体ではなく、巣全体に広がり、一つのミツバチのコロニー自体が崩壊するということも実際に起こっています。これはかなり危惧しなければならない事態でしょう。

在来種のミツバチを保全する

ミツバチと花はとても良いカンケイであるため、ミツバチを守ってしっかりとポリネーターとしての役割を働いてもらわなければならないことが分かりました。しかし、その点で重視するべきなのは、在来種を保全するという点です。

外来種をポリネーターとして活用する農家も多くなっていますが、この外来種が外部へ逃げ出して帰化してしまうと、在来種のミツバチと争いが起こってしまいます。そして生態系が崩れて、結果としてミツバチと花のカンケイが悪くなってしまうのです。

ですので、日本にある花や植物とミツバチのカンケイを本当の意味で守るのであれば、在来種のミツバチとの関係性を重視してあげることがとても大切です。

まとめ

ミツバチは花に蜜を与えてもらい、そして花は蜜を与える過程でミツバチに花粉を付着させ、運んでもらい、効率の良い受粉活動を行うという共依存関係にあります。この共依存関係により、私たちが口にする農作物の一部も育っています。

この素晴らしいミツバチと花のカンケイを壊さないように、そしてそこから発展して自然環境を守るように心がけていきたいですね。